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“Build Atoms” 〜アミノ酸残基毎の修正〜

修正結果の一時保存

 “Build atoms”パレット(図2.2.1)は、アミノ酸残基ごと、あるいは原子ごとに修正を行えるプログラムが表示されている。
 ここでは各プログラムの説明の前に、パレット上で行う修正結果の保存方法について説明する。

“Accept/Quit”パレット(図2.2.2)
 後述の各修正プログラムを実行すると、修正結果が白・緑等の構造で表示され、併せて“Accept/Quit”パレットが表示される。
 *“Fit Side chain by RSR”など、表示されないものもある。
 この結果を受け入れるか否かを、同パレットで決定する。

 Acceptした結果に問題がなければ、次の「Save changes」で保存。
 取り消す場合は、「Undo last fit」

“Save changes”
 “Build atoms”パレット“Save changes”(図2.2.1赤丸)をクリックすると、それまでにAcceptした結果が保存される。
 こまめに「Save changes」をしたほうが無難。

“Undo last fit”
 “Build atoms”パレットの“Undo last fit”(図2.2.1赤丸)をクリックすると、Acceptした結果が破棄される。
 なお、既に「Save changes」済みの結果は破棄できない。

 なお、“Save changes”は、X-Build実行中の結果を保存している状態。
 最終的な修正内容の保存方法(=新規構造ファイルの作成)は「精密化の終了」に記述している。


(図2.2.1) “Build Atoms”パレット


(図2.2.2)“Accept/Quit”パレット


修正プログラム

 “Build Atoms”各プログラムを実行する基本的な手順は次の通り。
  1. “Build Atom”パレット上で実行するプログラムをクリック。
    ⇒選択されたプログラムにチェックマーク。
  2. “QUANTA”画面上に表示されているモデル(修正を加えるアミノ酸残基、原子)をクリック。
    ⇒プログラムが実行。
  3. 修正結果の“Accept/Quit”〜“Save changes/Undo last fit”。
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“Refine 1 residue”
 アミノ酸1残基を電子密度にフィッティングする。
  1. 「Build atoms」パレットの“Refine 1 residue”をクリック。
  2. 「QUANTA」画面上で修正したいアミノ酸残基をクリック。
    ⇒精密化開始(白で修正候補が表示:図2.2.3)。
    “QUANTA”画面下部メッセージラインに進行状況が表示。
    ⇒メッセージラインに“Finished”が表示されたら精密化終了(図2.2.3矢印)。
  3. “Accept/Quit”パレット(図2.2.2)で決定。

(図2.2.3) “Refine 1 residue”の結果・メッセージライン

“Geometric conformation”
 側鎖のコンフォメーションを、統計的な存在確率に従って修正。
 側鎖の電子密度が曖昧な場合に参考になる。
  1. “Geometric conformation”をクリック。
  2. 修正したいアミノ酸残基をクリック。
    ⇒白で修正候補および“Geometry”パレットが表示(図2.2.4)。
    *複数の修正案が提示される(図ではRota1〜7の7つ)。
  3. “Geometry”パレットで“Accept”または“Quit”を決定。

(図2.2.4) “Geometric conformation”の結果および
“Geometry”パレット

“Fit side chain by RSR”
 側鎖を自動的に電子密度にフィットさせる。
 *チェックした原子から先が修正される。
  1. “Fit side chain by RSR”をクリック。
  2. 修正したい側鎖(の原子)をクリック(図2.2.5左)。
    *図ではCα原子をクリックし側鎖全体を修正。
    ⇒側鎖が自動的に電子密度にフィットする(図2.2.5右)。

(図2.2.5) “Fit side chain by RSR”による側鎖の修正

“Fit main chain by RSR”
 主鎖(ペプチド結合)を自動的に電子密度にフィットさせる。
  1. “Fit main chain by RSR”をクリック。
  2. 修正するペプチド結合(図2.2.6左:矢印)をクリック。
    ⇒主鎖が自動的に電子密度にフィットする(図2.2.6右)。

(図2.2.6) “Fit main chain by RSR”による主鎖の修正

“Move atom + RSR”
 主鎖を手動し側鎖をフィットさせる。
  1. “Move atom + RSR”をクリック。
  2. 修正したいアミノ酸残基をクリック。
    ⇒修正候補が白表示される(図2.2.7)。
  3. Shift+Ctrlキーを押しながらマウスを動かす。
    ⇒主鎖が移動し、それに合わせて側鎖構造が自動修正される。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。

(図2.2.7) “Move atom + RSR”による修正

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“Edit backbone tor”
 ペプチド結合平面および二面角を修正。
  1. “Edit backbone tor”をクリック。
  2. 修正したいペプチド結合をクリック。
    ⇒修正構造が白表示され(図2.2.8a)、修正する二面角(2残基分)がRamachandranプロットに表示 (図2.2.8b)。
  3. Shift+Ctrlキーを押しながら、マウスを動かす。
    ⇒画面上の構造、Ramachandranプロット上の角度分布が変化(図2.2.8c)。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。
(図2.2.8) “Edit backbone tor”による主鎖の修正
(a) 修正前構造と修正後構造(白表示)。
(b) 修正前のRamachandramプロット。
(c) 修正後のRamachandramプロット。
  紫丸:番号の若いアミノ酸残基の二面角
  黄色:次のアミノ酸残基の二面角

“Edit chi angle”
 側鎖の結合角を修正する。
  1. “Edit chi angle”をクリック。
  2. 側鎖を修正するアミノ酸残基をクリック
    ⇒構造が白で表示され、結合部に番号が付く(図2.2.9左)。
  3. 修正する結合部をクリック(図2.2.9右矢印)し、Shift+Ctrlキーを押しながらマウスを動かす。
    ⇒側鎖の構造が変化する移動する(図2.2.9右)。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。

(図2.2.9) “Edit chi angle”による側鎖の修正

“Move atom”
 一原子を手動する。
  1. “Move atom”をクリック。
  2. 移動させる原子をクリック
    ⇒白十字で原子の位置が表示。
  3. Shift+Ctrlキーを押しながら、マウスを動かす。
    ⇒白十字(=原子)が移動する(図2.2.10)。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。
  5. 必要に応じて“Regularize”を実行。

(図2.2.10) “Move atom”による原子の移動

“Move zone”
アミノ酸残基を一つ〜複数、構造を維持したまま手動する。
  1. “Move zone”をクリック。
  2. 一残基を移動:目的のアミノ酸残基のみをダブルクリック。
    数残基を移動:移動領域の最初と最後の残基をクリック。
    ⇒選択領域が白の候補構造が表示(図2.2.11) 。
    *図2.2.11では、矢印で示した二つのアミノ酸残基をクリックし、計三つのアミノ酸残基を選択。
  3. Shift+Ctrlキーを押しながら、マウスを動かす。
    ⇒候補構造が移動する。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。
  5. 必要に応じて“Regularize”を実行。

(図2.2.11) “Move zone”によるアミノ酸残基の移動

 “Move atom”および“Move zone”は手動で構造を修正するため、立体化学的なパラメーターに問題が生じてる可能性が高い。
 これらを実行した場合は、後述の“Regularize”を実行する。


“Model terminal res.”
 末端構造を修正する。
  1. “Model terminal res.”をクリック。
  2. N(C)末端のNH(COOH)基(図2.2.12矢印)をクリック。
    ⇒末端4残基の構造が白で表示される。
    Ramachandranプロットに4残基分の二面角のみが表示。
  3. Shift+Ctrlキーを押しながらマウスを動かす。
    ⇒候補構造が移動する(図2.2.12)。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。

(図2.2.12) “Model terminal res.」の実行

“Flip torsion 180 deg.”
 選択した結合面を180°回転させる。
  1. “Flip torsion 180 deg.”をクリック表示。
  2. 回転させたい結合をクリック(図2.2.13左矢印)。
    ⇒選択した結合が180°回転する(図2.2.13右)。

(図2.2.13) “Flip torsion 180 deg.”の実行

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“Mutante residue”
 アミノ酸残基を置換する。
  1. “Mutante residue”をクリック。
  2. 置換したいアミノ酸残基をクリック。
    ⇒“Specific”パレットが表示(図2.2.14)。
  3. “Specific”パレットで目的のアミノ酸残基をクリック。
    ⇒アミノ酸残基が置換される。

(図2.2.14) “Specific”

“Add–delete”
 アミノ酸残基や結合部の付加、消去を行う。
 パレット(図2.2.15)に表示されたうち、主な機能および操作手順は、以下の通り。

“Delete bond”
 結合部の消去
  1. “Delete bond”をクリック。
  2. 消去したい結合をクリック。 

(図2.2.15) “Add-delete”
“Create bond”
 結合の追加
  1. “Create bond”をクリック。
  2. 結合させたい原子を順にクリック。
“Delete residue”
 アミノ酸残基の消去
  1. “Delete residue”をクリック。
  2. 消去したいアミノ酸残基をクリック。
“Add res at terminal”
 末端へのアミノ酸残基の追加
  1. “Add res at termini”をクリック。
  2. 末端のアミノ酸残基をクリック。
    ⇒“Specific”パレットが表示 (図2.2.14)。
  3. “Specific”パレットで付加するアミノ酸残基をクリック。
    ⇒末端に新たにアミノ酸残基が追加される。

“Hydrogen bonds”
 水素結合を白破線で表示。
 *再クリックで表示が消える。

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“Move atom + reg. res.”
 アミノ酸を構成する原子の座標を調整する。
  1. “Move atom + reg. res.”をクリック。
  2. 修正するアミノ酸残基をクリック。
    ⇒初期修正が実施され、緑で候補構造が表示。
  3. 原子をクリック(図2.2.16白丸)し、Shift+Ctrlキーを押しながらマウスを動かす。
    ⇒選択した原子が移動し、合わせて候補構造が変化(図2.2.16)。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。

(図2.2.16) “Move atom + reg. res.”の実行

 “Move atom + reg. res.”および次の“Move atom + reg. zone”では、手動する原子の動きに合わせ、モデルが立体科学的に矛盾のない様に調整される。
 この際、構造に問題がなければ候補構造は緑で表示(図2.2.16)、問題がある構造は黄〜赤で表示される(図2.2.17)。


“Move atom + reg. zone”
 特定の範囲を構成する原子の座標を調整する。
  1. “Move atom + reg. zone”をクリック。
  2. 調整する範囲の、最初(図2.2.17@)と最後(A)のアミノ酸をクリックし、最後に動かす原子(B)をクリック。
    ⇒初期修正が実行され、緑(黄〜赤)で候補構造が表示。
  3. Shift+Ctrlキーを押しながら、マウスを動かす。
    ⇒選択した原子が移動し、合わせて候補構造が変化。
  4. “Accept/Quit”パレットで決定。

(図2.2.17) “Move atom + reg. zone”の実行

“Regularize”
 立体化学的パラメーターを強制的に修正する。
  1. “Regularize”をクリック(青地(チェック付き)表示)。
  2. 修正する領域の最初と最後のアミノ酸(図2.2.18矢印)をクリック。
    *アミノ酸一残基を修正する場合はダブルクリック。
    ⇒緑(黄〜赤)で修正過程が表示(図2.2.18右)。
  3. 修正された構造が白表示(図2.2.18左)。

(図2.2.18) “Regularize”の実行

 “Regularize”は構造的に矛盾のないモデルへの修正を行う上で有効だが、プログラムの性質上、修正結果が電子密度に一致しない場合もある。  その様な場合、次の“... fix atoms”により、主要な原子(電子密度に良く一致するなど)を固定してから実行すると、よい結果が得られることがある。


“... fix atoms”
 任意の原子を固定する。
 “Move atom + reg. res(zone).”や“Regularize”時に併用すると便利。
  1. “...fix atoms”をクリック。
    ⇒“Fix Atoms”パレットが表示(図2.2.19上)。
  2. “Pick atoms”を選択し、“OK”。
    *“Fix CA”、“Fix mainchain”はモデルに含まれるCa原子、主鎖をそれぞれ固定。
    ⇒“Fix Atoms”パレットが閉じる。
  3. 固定する原子をクリック。
    ⇒固定された原子が白十字で表示される(図2.2.19下)。
  4. “... fix atoms”を再クリック
    ⇒“... fix atoms”のチェックが消える。
    *再クリックしないと、プログラムが終了しない。
 固定を解除するには、“Clear fix atoms”を選択し“OK”。

(図2.2.19) “Fix atoms”の実行

 以上のプログラムをどの様なケースで用いるかは、ある程度のなれを必要であると思われる。
 大雑把な使用例に関しては、「“Build Atoms”各プログラムについて」を参考のこと。

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